RC造予備知識

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RC造予備知識

2021/01/02

コンクリートって?

セメントペーストからモルタルとコンクリート。骨材の違い

 RC造は鉄筋コンクリート造のことです。Reinforced Concreteの略です。意訳すると補強されたコンクリートという意味です。構造に使われる材料の種類の区分になります。鉄筋で補強されたコンクリートを材料にした構造、ということになります。

 

石灰石を原料とするセメントに水を加えると、化学反応を起こして石のように固まります。これをセメントペーストと呼びます。それに砂を加えるとモルタルになります。モルタルあ接着剤としても多く建築に使われます。さらにモルタルに砂利を加えるとコンクリートです。モルタルやコンクリートが固まるのはセメントの性質によるものです。

 

この砂利や砂は骨材と呼ばれコンクリートのうち70%をしめます。固まる前のコンクリートが所謂生コンです。

 

セメントの主成分酸化カルシウム8CaO)に水が加わると水酸化カルシウム(Ca(OH)2)ができてアルカリ性になります。水酸化カルシウムの水酸化イオンがアルカリ性の性質をもつかれです。こむつかしい話になりましたが、コンクリートはアルカリ性というのは重要です。

 

鉄筋コンクリート造。コンクリートの弱さを補強する鉄筋

様々な要素で成り立つ組み合わせ

コンクリートに補強が必要になるのは、コンクリートは圧縮には強く引張りに弱いためです。ぎゅっと押される力には強く、エキスパンダーのように引張る力には弱いという特性のため、引張る力を補強するために鉄筋を使います。鉄筋として使われる鉄とコンクリートの熱に対する膨張率はほぼ同じなことも大きな要素です。これもこむつかしくいうと線熱膨張係数がほぼ同じ値ということなのですが、気温の変化などで、鉄もコンクリートも同じだけ膨張伸縮するので鉄筋とコンクリートが分離しない、なので建物の構造として鉄筋コンクリートが可能になります。

 

 

鉄は水に浸かると錆びます。酸化鉄(三酸化二鉄)所謂赤錆です。コンクリートは強アルカリ性のため、鉄筋は錆びずRC造が可能になります。

 

・RC造は鉄筋コンクリート造。補強されたコンクリート構造。

・コンクリートの弱さである引張りへの弱さを補強するために鉄筋を使用。

・コンクリートと鉄筋は熱による膨張伸縮率がほぼ同じなので分離しない。

・酸化により錆びる鉄筋だがコンクリートは強アルカリ性なので錆びない。

 

コンクリートの中性化。よく聞く言葉だが。。

それによって起こる現象こそ重要。

RC造の表面仕上げは、たとえばタイル貼り、のように種類があり、それによっても劣化の仕方、対処法はかわってきますので、ここではRCの劣化について、すなわち中性化について書きます。イメージとして打放しの鉄筋コンクリートの建物がわかりやすいと思います。塗装やタイル、打ち継ぎや緩衝目地など、雨漏りなどの原因となると様々なことが組み合わさります。今回は中性化に特化した記事です。

 

上記の話と、後述の中性化のメカニズムを見るとよくわかるのですが、コンクリートの中性化はコンクリート自体の劣化ではありません。コンクリート自体の強度劣化はしないといわれます。中性化が建物の劣化といわれるのはコンクリート自体の劣化ではなくコンクリート内の鉄筋が錆びることによって耐久性に問題がおこってくるということです。

 

・中性化はコンクリート自体の強度劣化ではない。

・補強に使われている鉄筋を錆びさせることで建物を劣化させる。

 

中性化というよりはアルカリ性の弱体化

中性になるというよりは弱アルカリ化

コンクリートの中性化の原因としては炭酸化、酸性土壌、水との接触、熱、化学物質の接触・浸透など細かく色々あります。原因の代表として大気中の炭酸ガスが、コンクリート内部に拡散し、中性化がコンクリート内部へと進んでいく。

化学式は

Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O

 

 

 

鉄筋が錆びること。RC造での中性化はこれが問題になる

炭酸化は中性化の一要因で、風雨など環境によって左右されにくい、どこでも起こる現象。また、『中性化』とネーミングされているが、アルカリ性が中性へ向かっていることで実際に中性になっているということではなく、強アルカリ性弱アルカリ性へアルカリ性を弱めている、、中性に近づいていっているという、経年により進んでいく現象です。一般的な中性化は炭酸化によるものが大部分を占めているのですが、中性化をイメージしやすくするため、少し細かく書きました。逆にわかりにくければ炭酸化も中性化も同じと考えてもらっても構いません。

 

 

アルカリ性、酸性を表すのにpHという単位があり、リトマス試験紙でわかるアルカリ性、酸性と同じです。コンクリートの場合表面だけで判断することができませんから、表面にリトマス試験紙を押し当てて中性化が進んでますね、、と、判断することはできません。炭酸化は表面から内部へ拡散します。しかし、その境界が明確なわけではありません。pHは0から14までで表されます。14が強アルカリで数値が下がるほど酸性に向かいます。一般的にコンクリートはpH13くらいから徐々にアルカリ性を失っていきます。

 

目安としてpH10より低くなると鉄筋が発錆します。鉄筋は発錆により腐食生成物を生じ約2.5倍に体積を膨張させ、その膨張圧によりコンクリートを押し上げる。これが爆裂と呼ばれる劣化現象のメカニズムです。膨張圧によりかぶりコンクリートにひび割れや剥離を生じさせるのです。そのひびわれや剥離に雨水などの浸透がくわわりさらに劣化速度がましていきます。

・厳密には炭酸化は中性化の一因だが、建物の劣化として考える場合同じと考えて大きな問題はない。

・pH10から鉄筋の発錆がはじまる。

・鉄筋の発錆が鉄筋の膨張を生み、かぶりコンクリートなどに影響し爆裂が起こる。

 

この鉄筋の発錆が爆裂の原因

コンクリートの中性化→鉄筋の発錆→鉄筋の膨張→爆裂

RC造といっても、躯体構造が鉄筋コンクリート造というだけで、建物により構造は変わってきます。外壁、屋根の造り・素材・仕舞い、雨仕舞い、ムーブメントの逃し方など、劣化の仕方はそれらにも大きく左右されます。同じ爆裂でも処置は同じでも今後を考えた処置を考える場合、なぜその爆裂が起こったのか、様々な絡みも考えて、今後の処置を考えることは大切なことだと思います。

 

 

また、今回はRC造を考える上での鉄筋コンクリートを考えました。雨漏りなどを考える上で、これ以外にも様々な劣化があります。少し誤解もあるので少し申し添えておきたいのは、コンクリートは水を通すのか、、ということです。

これを「通します」あるいは「通しません」というのは一概にむずかしいです。コンクリートは水を全く遮断するものではなく、材質によって量はことなりますが、水は透水します。雨漏りするほど、つまり水を通すのかといわれれば厚みや作り、材料などによって変わってきます。

 

極端にいえば厚み10mのコンクリートが雨水を通すかと言われれば通さないでしょう。また、タイルの目地モルタルがほとんどなくなって薄くなっている場合その裏のALCに影響を及ぼさないか、、といえば、それは及ぼします。つまり、建物でコンクリートやモルタルを考える場合、それらは水を通さない、、ではなく、水を含む(透水する)可能性はある、、と考えて、その透水が雨漏りに繋がるか、、を考えることが大切だと考えます。

特に雨漏りの場合、コンクリートやモルタルは水を通さない、という視点に立ってしまうと原因を掴めなくなる可能性があるので注意が必要です。

 

建物の劣化の原因は様々です。複合していろんな要素が絡んできます。また、短期的スパンで補修を考えるのか、長期的な視点も視野に入れるのかによってもできることやすべきことが変わります。第一歩として原因を考えることは重要だと思っています。

 

塗装は有効

コンクリートに限らずですが、塗装による塗膜の京成は中性化を防いだり進行を低減するのに有効です。
打放しのコンクリートでもクリア塗装や浸透性の撥水剤などを塗布することで塗膜を形成し、コンクリートに直接大気や雨水が当たらなくなり、中性化を防いだり、進行を低減するのです。クラックや塗膜の劣化で直接コンクリートに大気や雨水があたるようになるとその部分はやはり劣化が進みやすくなります。クラックは建物のムーブメント(動き)で発生します。クラックから入り込んだ炭酸ガスや雨水がクラック内及び周辺の中性化を助長し、鉄筋に錆が発生して爆裂に至ります。爆裂してしまえば更なる錆の進行を抑えるため錆止めの塗布、シーリング処置、モルタル打設などの処置が必要です。外壁塗装はコンクリート中性化する速度を遅くしますが、爆裂の補修にはなりません。

 

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