ビル、マンションの困った雨漏り。とりあえず漏れないように出口を塞いで安心されていませんか?
2020/06/18
ビル、マンションで突然の雨漏り。困った雨漏り。
ビル、マンションの室内が濡れてしまう。あわてて出口を塞いでいませんか?
雨漏りケース1
雨水の出口と入口がリンクしている場合
カナダの建築研究所のG.K.ガーデンという人が唱えた雨漏りが起きるための3条件というのが、
1、雨水が通り抜ける孔(隙間)が存在すること。
2、孔の周りに雨水が存在すること。
3、孔を通して雨水が移動するための力が働くこと
というのがあります。
ALCや木の素材に水が染み込むことは孔という表現にはマッチしないかもしれませんが(こちらを参照ください)雨漏りで、防水や雨仕舞いを考えていく上では広義的にもっともな提唱です。
さて、いざ雨漏りをすると、とりあえずに室内への水の侵入を抑えたいため、雨漏りの入り口を考えす、出口を塞いでしまった場合について書きたいと思います。
雨漏りの入り口や出口と一口に行っても、原因、形状、処置後の水の流れ、あるいは上記の3要件は様々です。各個の事象は別の機会に譲るとして、この記事ではざっくり雨水の出口、入口というイメージでお考えください。
雨水の侵入は雨漏りという形で
雨水の侵入は雨漏りという形で室内に現れ濡れてはいけないものを濡らし、テナント様や入居者様への被害が出てしまう現象です。早急に対策をしなければ、被害が大きくなってしまいます。特にビル、マンションなどの高所を含めた外壁は、容易に点検することができないため、早急に水を止めるため、雨水の出口、すなわち雨漏り現象箇所をなんとか防水しようとしてしまいます。雨水の出口を塞ぐことは雨水の侵入という被害を根本から直す処置にはならない応急的処置となります。
雨水自体は侵入しているので、違う箇所に雨漏りとして再発する場合も多いです。できれば、出口を塞ぐ応急処置の前に、雨漏りの根本原因たる雨水の入り口の防水処置を考えていただきたいと思います。建物に水が溜まると建物の劣化を進めるだけではなく、違う出口を探して違う箇所に雨漏りとして出てくると更に原因がわかりづらくなる場合もあります。
繰り返しになりますが、雨漏りの原因としての雨水侵入、雨漏りとしての事象、原因、形状、作用は様々です。当該記事は雨漏りの応急処置としての内側の雨水の出口を塞いでしまうことのリスクを説明する記事になります。
入口は塞ぐ必要がありますが
雨仕舞いも考える必要があります
意外と多いんです
穴という穴を塞いでしまおうってことですかね。。
入口を塞ぐ、、は当たり前なのですが、時に入口ではない穴を塞いでしまっている場合に遭遇します。
入口がどこかわからないからとりあえず穴という穴を塞ごう、、と、いうことなんでしょうか。
建物や建具にはある程度の水の侵入を予想して予め水が通っても外にでるように出口として隙間や穴をわざと設置している場合があります。雨仕舞いという考え方もそのひとつですし、二次防水という考え方もそのひとつです。水抜きの穴やサイディング の仕舞などが例になります。
こうした穴や隙間をふさいでしまうと、上とは同じメカニズムで逆に室内に水が回ってしまうことがあります。雨漏りが止まったと誤解する場合もありますし、実際に止まる場合もあります。穴という穴、隙間という隙間を埋めるのだから止まって当然、とお考えかもしれません。
しかし、壁自体が浸水することを想定された穴や隙間です。実際に壁自体に浸水が始まってしまうと本来出ていく穴が塞がれており水は室内へ回る、というメカニズムです。
外壁の穴や隙間はもちろんひび割れやシーリングの劣化など経年で発生するものがあり、これらこそが補修の対象です。だだし、意図した設計によるものも存在して、それらは塞ぐべきではないものである、ということです。